CI(コーポレートアイデンティティ)という言葉からは、ロゴやブランドマークの刷新という印象がもたれがちですが、企業の存在価値や独自性を意味する重要な概念です。この記事ではCIの定義や目的、近年のCI刷新の事例、CIプロジェクトの進め方などをご紹介します。
CI(Corporate Identity:コーポレートアイデンティティ)とは、直訳すると企業の存在価値や独自性を意味します。ビジネス活動においては、その企業の存在価値・独自性を、統一したイメージやデザインで発信することで、企業ブランドを社会に浸透させるビジネス戦略の一つとして定義することが一般的です。CIという言葉は、文脈によってCI活動、CIプロジェクトなどという表現をされることもあります。
CI=ロゴ・マークの刷新と思われている方も多いと思いますが、ロゴやマークはあくまで企業理念を象徴するシンボルの一つであり、実際のCIには企業理念や企業哲学、従業員の行動指針、企業が発信するさまざまなコンテンツまでが含まれます。
CIの目的は企業理念の浸透やブランディングにあります。CIに注力することにより、企業は自社の価値観、個性、ブランドイメージを社内外に浸透させていくことができます。
企業は、成長に応じて規模や活躍するビジネスフィールドが広がっていきます。時代の変化により創業当初の社名、経営方針、ブランドイメージなどが実態と乖離してくることも少なくありません。創業時の思いや価値観は貫いていくにせよ、成長ステージごとにCIを刷新していく必要に迫られます。
一般に、CIの刷新は企業が周年を迎えた際に、周年事業の一つとして実施されることが多いようです。また、M&Aやグループ企業の統廃合があったときなどにも実施されます。大がかりなCIプロジェクトの場合は、1~3年計画で準備を行い、社名、ロゴだけでなく、製作物に使用する文字の書体などもすべて刷新します。あるいは、そこまで予算はかけず、ロゴやスローガンだけを刷新する例もあります。
いずれせよ、CIを刷新することで、未来に向けた新たな企業理念やアイデンティティを社内外に強く打ち出すことが可能です。
周年事業を行うタイミングで実施される、規模の大きいCIプロジェクトでは、社名、企業カラー、ロゴ、社用封筒のデザインなど、製作物を一斉に刷新するため時間がかかります。刷新したCIを周年記念式典で披露するなどのスケジューリングも必要です。このような大掛かりなCIプロジェクトは、社内でプロジェクトチームを設け、CIを支援する企画会社などと協力しながら取り組みます。
また、CI刷新に伴うWEBサイトや印刷物の製作においては、よりクオリティの高いコンテンツづくりを目指しましょう。そのためには、コンペを積極的に行い、ブランディングを向上させる実力のある外部企業を選定していきます。一般的なCIプロジェクトの手順は以下の通りです。
近年は、ビジネスのグローバル化やデジタル化に伴い、CIもグローバル市場での社名浸透や、デジタル時代を意識した刷新事例が増えています。
富士重工業は2017年の創業100周年を機に、社名を「SUBARU」に変更しました。国内外で親しまれている自動車のブランド名を社名にすることで、ブランド力や知名度を高めたいということをコメントしています。
スタートゥデイは2018年の設立20周年を機に、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という理念の実現に向けてグローバル展開を進めることを発表。社名も、認知度の高いブランド名でもある「ZOZO」に変更しました。
松下電器産業は2008年に社名を「パナソニック」に変更しました。また、国内で使用していたブランド名「National」を廃止し、「Panasonic」にブランド名を一本化。理由として「真のグローバルエクセレンス(世界的優良企業)になるには、ブランドを統一して全従業員の力を結集する必要があると判断した」ということを経営者がコメントしています。
2018年、マスターカードは、赤と黄色の二つの円が連なるMastercardブランドのマークから文字部分を削除し、よりシンプルでデジタル時代に適したデザインの新しいマークを発表しました。
楽天は2018年に、世界での企業認知度を高めていくためにブランドのロゴを新しいデザインに変更しました。新ロゴは「No.1」を意味する「一」の文字が入ったデザインとなっています。
普段なにげなく目にしている企業のロゴやデザインには、企業の存在価値、社会へのメッセージが込められています。CIとはその企業が社会に対して何を提供し、どのように貢献したいかを発信していく手法の一つです。自社の企業理念に即した体系的な企業カラーやロゴ、デザインなどでメッセージを発信し、企業としてのブランド価値を高めていきましょう。
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