カタログは、自社の商品やサービスを顧客に効果的に伝えるための重要なツールです。初めてカタログ制作を担当する場合、何から始め、どのように進めればよいのか迷うことも多いでしょう。本記事では、カタログ制作の基礎知識や種類、制作の流れ、注意点について、初心者にも分かりやすく解説します。
カタログは、商品やサービスの情報を整理して掲載した冊子や電子データです。特にビジネスシーンでは、商品の魅力を顧客に伝え、購買意欲を高めるための必須アイテムといえます。
カタログはさまざまな業種で使われていますが、例えば、次のような用途別のカタログがあります。
商談やセールスの場面で自社の商品を紹介する際に使われます。展示会や販促イベント、ショールームなどで説明用に設置されたり、配布されることが多いです。
商品の流通過程で利用されるカタログです。例えば、小売店が卸売業者に商品を発注するときに使うといった用途を思い浮かべると分かりやすいかもしれません。一般消費財だけでなく、小さなネジから農産物の種子、大型の機械設備まであらゆる商取引で、業務販売用カタログが使われています。
通信販売において、顧客が商品を選び、購入するために使われます。
カタログと同じように商品を紹介する冊子に、商品パンフレットがあります。カタログは商品を網羅的に紹介するため、情報量が多く、分厚い冊子になることが一般的です。
一方、パンフレットは特定の商品やサービスに焦点を絞り、詳細に説明します。
情報量の多いカタログには、カテゴリー分けや索引、色分けした見出しなどで、顧客が情報を探しやすくする工夫が求められます。ページの端にジャンルごとに色分けした小口見出しの「ツメ」を付けたカタログもよくあります。
カタログ | パンフレット | |
内容 | 商品やサービスが「網羅的」に紹介されている。 | 特定の商品やサービスに「焦点」を当てて、その魅力を詳細に伝える内容。 |
デザイン・構成 | 商品の分類や情報整理が重視されるシンプルなデザイン。複数の商品やサービスを顧客が比較・検討しやすいように構成されている。 | デザイン性が高く、ビジュアル重視。視覚的に魅力を伝えるため、写真や図版が多く使われる。 |
情報量 | 情報量が多く、商品ごとの仕様、価格、型番、使用方法など、詳細な情報が掲載されている。 | 情報量は少なめで、内容は商品やサービスの「ポイント」に絞った内容。 |
サイズとページ数 | 多くの情報を載せるため、A4サイズで数十ページ~数百ページとページ数は多い。分厚い冊子やファイル形式のものもある。 | 数ページから10ページ程度の薄い冊子が一般的。コンパクトにまとまっており、A4サイズやB5サイズなど持ち運びしやすい。 |
使用シーン | 商談や展示会などで顧客に渡し、後でじっくり読んでもらう。また、業務用の取引や商品の発注などでも使われる。 | セミナーやイベント、店舗などで配布。短時間で商品やサービスの魅力を伝える場面で多く使われる。 |
次に実際にカタログ制作を行う際の流れを、準備と実作業のフローに分けて説明します。
カタログを制作する前に、制作の理由や目的、対象、期間などを書き出して、基本情報を整理する必要があります。目的やコンセプトを明確に決めることで細かい判断のブレをなくし、作業を進めやすくします。
まず、制作コストに関わる要素や条件を洗い出します。
カタログの規模や印刷部数、予算に応じて、制作会社から見積もりを取り、実績や対応力を比較して業者を選定します。複数の業者から見積もりを取る(相見積もり)ことで、金額の交渉やコストの抑制がしやすくなります
料金の安さだけを見るのではなく、制作実績を参考にして、希望に合った品質のカタログを作ることができる業者を選びましょう。
制作会社を選定後に、具体的な制作作業がスタートします。カタログ制作の流れに沿って、作業の内容と注意点を紹介していきます。
制作会社と目的やターゲットを共有し、デザインやページ構成を決定します。
商品名、タイトルコピー、品番、紹介文、仕様、価格や、画像といった、商品ごとの情報を準備します。企画・構成の検討と並行して進めましょう。効率化とミス防止のため、原稿は商品のデータベースから自動で変換し、なるべく手作業を減らすようにするとよいでしょう。
表紙や各ページのレイアウトを作成します。デザインが目的や役割に合っているか、ターゲットに合っているか、改訂時に情報が更新しやすいかといった点にも注意が必要です。
整理した文字原稿や画像をページデザインに流し込んで、印刷用のデータを作成していきます。原稿が組み上がったら、校正を行い、修正指示を出します。初校、再校、念校と、完全に直りきるまで確認が必要です。
情報量が多い場合は、原稿をブロックに分けて、順番に「テキスト・画像準備~出稿~校正~戻し」のプロセスを回します。新規の写真撮影や図表の制作も、この時期に並行して行いましょう。
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印刷所へデータを入稿し、色校正を行います。色校正には、簡易校正や本紙校正といったいくつかの種類がありますが、予算やどの程度色みにこだわるかによって選択します。
色みや修正を最終確認して、校了となります。印刷完了後に製本され、納品となります。
カタログ制作を成功させるうえで鍵となる5つのポイントを解説していきます。
カタログの制作では、誰に見てほしいのか、その相手からどのような反応が欲しいのか、的を絞ることが重要です。カタログのターゲットが複数考えられる場合は優先順位をつけて訴求ポイントを決めます。
目的や対象によってカタログに掲載する内容やデザインが決まるため、ブレのないようにしておきましょう。
掲載情報や表現方法、レイアウト、デザインなどの方向性は、制作会社に発注する前に社内でしっかり詰めておきます。あとから出た意見によってコンセプトが揺らいだり、決裁者から大きな修正や追加が入ったりして、大幅なやり直しが生じる事態は未然に防がなければなりません。
社内の要望や意見は準備段階で十分に吸い上げて、カタログに対する認識を統一しておきましょう。
競合他社のカタログを取り寄せて研究し、差別化のヒントを得ることも大事です。
顧客は多くの場合、自社と競合のカタログの両方を見て商品やサービスを比較します。ですから、相手のカタログを参考にして、情報量やレイアウト、表現方法を工夫することが必要になります。競合のカタログと似た誌面にならないこと、自社の優位性が伝わる仕上がりになることを目指しましょう。
打ち合わせの前に大まかなページ構成を作成しておくと、制作会社に作りたいカタログのイメージを伝えやすくなります。ある程度のたたき台があれば、それをもとに詳しい構成を詰めていけるため、作業もスムーズです。
大枠となる構成は、既存のカタログや他社のカタログを参考にしたうえで、実際の商品情報を当てはめる形で作成しましょう。
カタログでは、顧客が知りたい情報がきちんと網羅されていることが必須となります。情報をリストアップして、過不足がないか確認しましょう。
そして、情報の優先順位を決め、カテゴリー分けをします。その際は商品の位置づけをマッピングして、混乱のないように整理することが大事です。
常に顧客の目線に立ち、分かりやすいかどうか、情報を探しやすいレイアウトになっているかを確認しながら、作業を進めましょう。
カタログは、顧客に自社の商品を間違いなく選んでもらうための重要なツールです。それだけに、カタログの制作には時間と手間、費用がかかります。しかしカタログづくりのポイントを押さえて丁寧に作成したカタログは、自社の事業に大きく貢献するものになるはずです。カタログの目的と対象をしっかりと見定め、結果につながる仕上がりを目指しましょう。
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