小売業、飲食業、サービス業などにおいては「商圏」という言葉がよく使われます。業界を問わず新しい店舗を出店する際や既存店舗の売上を伸ばすためには、商圏の調査・分析が非常に重要です。この記事では、商圏について、商圏を分析・調査する手法、商圏の分析結果の活用方法などを紹介します。
商圏とは、店舗ビジネスにおいてその店に来店を見込める顧客が住んでいる範囲を意味します。エリアマーケティングにおいて非常に重要な概念です。商圏を把握することはビジネスの基本であり、かつその成否に影響します。商圏の範囲はその店の業態、ターゲットとする地域の人口動態、消費者の移動手段や経済状況、競合店の存在などによって変わってきます。
商圏の範囲は、一般的には店を中心とした“半径の距離”で表現されることが多く、顧客の移動手段によってその範囲は変化します。また、「5分~10分」というように移動に要する時間で商圏を表すケースもあります。都心か地方か、駐車場の有無、エリア居住者の年齢層などの前提条件の違いによって、それぞれ距離や時間なども異なります。
こちらは商圏範囲の例です。前提条件により範囲は異なります。
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商圏分析には、データに基づく分析とフィールドワークに基づく調査があります。データ分析には政府が公開している統計調査が主に使われます。ただ、統計データだけではつかめない、人の流れを阻害する川や大きな建造物なども実際には存在しているため、フィールドワーク調査も大切です。以下は、一般的な商圏分析の種類です。
対象エリアの人口動態(人口の流入、流出、出生、結婚、離婚など)の統計調査を利用することで、どのような層が店の周辺に居住しているかを把握できます。現在だけでなく、今後の人口も予測可能であり、現在および近い将来のマーケティングに有効活用できます。
居住者の世帯収入、移動手段、消費動向などを市場調査し、居住者のライフスタイルを分析します。また、エリアを問わず、年代や家族構成ごとのライフスタイルなどもあわせて分析して消費者の志向を把握することで、商品開発や店舗の品ぞろえに生かすことができます。
競合店の場所、規模、販売している商品やサービスなどを分析することで、そのエリアの消費者がどのような基準で店を選ぶかの参考になります。競合店に対抗できる商品、価格帯、営業時間などを決める際に役立ちます。
商圏は、店から半径500mというように円で表現されることが多いものの、実際の人の流れは、道路の状況、山・谷・川などの自然の造形や、学校のような大きな施設があるかどうかで変わってきます。そのため、現地に赴き調査することで、事前にそれらの「商圏バリア」を把握する必要があります。現地に訪問できない場合は、商圏バリアを考慮した分析ツールの活用も検討しましょう。
商圏を分析し、そのエリアの消費者ニーズをつかむことができれば、新規出店の成功、既存店の売上拡大につながります。大型小売店やコンビニエンスストアなどは、新規出店にあたって必ず対象地域の商圏を調査します。また、出店後も定期的に商圏を分析し、対象エリアの特性、消費動向などを把握して営業を展開していきます。商圏分析は退店リスクを減少させ、店舗の売上を向上させるメリットがあります。
商圏調査に使える無料のアプリやWEBサービスなどを紹介します。
千葉大学、芝浦工業大学などが主体の研究プロジェクトOPOSSUM(オポッサム)では、無料で未来カルテというデータを発行するためのプログラムを提供しています。未来カルテは、地域ごとの人口減少を予測し、さらに2040年時点の産業構造や、医療、教育、保育など10分野における推移をシミュレーションしています。10年後、20年後に店舗の商圏がどう変化し、何がトレンドになるかを予測するのに大変参考になるデータです。サイトより無料ダウンロード可能です。
総務省統計局のWEBサイトである政府統計の総合窓口「e-Stat」から、各種統計データをダウンロードすることが可能です。地域ごとに地図と各種統計データが重ねて表示されるため、エリアの居住者の状況が可視化できます。地域を指定してエリア内の統計データのレポートを出力することも可能なため、店舗周辺エリアの世帯の統計の数字を入手することができます。
スマホアプリで簡単にダウンロードできる無料商圏分析ツールです。日本全国すべての地域の商圏人口・世帯数が分かります。商圏は半径10kmまで指定できます。エリアごとの事業所数、従業員数、人口総数、世帯数、人口増減率が分かるため、チラシ配布の優先順位を決めるようなときに役立ちます。操作も簡単で手軽に扱えるアプリです。
新規出店を決定する際は事前の商圏分析が非常に重要です。また、店のオープン後も、競合店の出店などで商圏は常に変化するため、定期的な調査が必要です。近年は無料の商圏分析ツールやビッグデータを活用した優れたエリアマーケティングツールが登場しています。上手に活用し、消費者ニーズに応える店づくりを行っていくことで売上の向上につながるでしょう。
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