面白い形の本のアイデアを思いついたのだけれど、果たして本当に作れるのだろうか・・・?
このようなお悩みを解決するのが製本コンシェルジュです。製本コンシェルジュは、お客様の本づくりのリクエストに豊富な知識と経験でお応えし、アイデアを形にするプロフェッショナルです。
本づくりは、「製造」だけでなく、その前段階の「設計」も重要な工程です。TOPPANクロレは、定形のコミックス、新書、文庫本などに限らず、上製本も含めてあらゆる仕様、大きさ、厚さの本を設計し、製造する豊富なノウハウを持っています。
本を「設計」をするためには、印刷、製本、装丁、用紙、材料などのさまざまな要素について考える必要があります。また、本は基本的に大量に配布するためにつくられるもののため、大量生産に適した設計にする必要があります。
製本コンシェルジュは、お客様がどのような目的で本をつくるのかや、見栄え、丈夫さ、コストなどの条件のもとに、どんな寸法にするのか、どんな用紙を表紙や本文に使うのか、綴じ方はどうするのかなどのできあがりのイメージを導き出していくのです。
本の内容や世界観などにあわせて、従来にない新しい形態の本をつくりたい時には、製本コンシェルジュの力が必要になります。
「この本は、開きやすく読みやすいことが求められているので、本の綴じ方はこの方法を使って、用紙はこの銘柄のこの厚さのものを使おう」「インパクトのある本にするためには、この素材を使ってこんな加工を施そう」
製本コンシェルジュは、製本に関する広く深い知識を駆使し、素材や技術の数多くの選択肢の中から最適なものを選びだしてコーディネートします。そして、お客様の様々なアイデアを形にし、ご要望に応えるのが製本コンシェルジュの仕事です。
タイトル:『レッドタートル ある島の物語』
原作:マイケル・デッドク・ドゥ・ヴィット
構成・文:池澤夏樹
出版社:岩波書店
Q 「レッドタートル ある島の物語」はどのような製本ですか?
A 元々はドイツ装(本文の表1と表4に別々の紙を貼り付ける独特の製本様式)にしたいという依頼でした。
しかしドイツ装は手作業で製造コストが高くなるので、手作業をなくして、コストを下げつつドイツ装の雰囲気を維持したいということがお客様のご希望でした。
Q 製本の工夫を教えていただけますか?
A 継ぎ表紙(別々の表1と表4を背部分でつないだもの)の形態でなおかつ、イチョウ溝(本の背と表紙の間にできる溝)の無い形にする事で、ドイツ装の雰囲気を出しながら、製本機で製本できるようにしました。背中の用紙を裏打ち寒冷紗(表紙と本文をつなぎとめるために使う布)にして、ドイツ装らしさを強調しています。
お客様から裏打ち寒冷紗に色をつけたいといわれたので、赤い紙で裏打ち寒冷紗を作成して使用しました。
最後にわざとサイズを縮めたカバーをかけて表紙の一部が見えるようにしています。
Q この製本はどのような評判でしたか?
A 強度、作業性、見栄えのバランスを維持しつつ、開きの良い本にできました。
得意先には美しい仕上りを大変喜んでもらえました。
造本装幀コンクールで日本印刷産業連合会会長賞を頂きました。
通常の上製本とは一味違った雰囲気を表現できたと思います。
Q この製本様式を今後どのように活用していきたいですか?
A 一つの経験になったので、他のお客様が同じような完成イメージをお持ちの場合には、ぜひこの製本を応用して提案していきたいと考えています。
製本コンシェルジュの仕事内容については、TOPPANクロレが発行する、「絵本っていいね!」というコラムの中でも紹介しています。絵本づくりに携わったさまざまな人達のこだわりや想いとともに、当社の製本コンシェルジュが実際にどのような活躍をしているのかについて、ぜひこちらをご覧ください。
絵本っていいねVOL4 『かおはめえほん たすけてー!』 (PDF)
絵本っていいねVOL5 『なんでもたしざん』 (PDF)
絵本っていいねVOL6 『なが~くのびるしかけえほん とんでった』 (PDF)
当社の製本コンシェルジュが、「第21期 プリンティングコーディネータ養成講座」において、「製本コンシェルジュ概論」の講義で講師を務めました。
「クリエイターの発想、本づくりのアイデアを形に」というテーマで、クリエイターの方々を対象に、これまでに携わった特殊造本の多数の事例をもとに、製本コンシェルジュの仕事内容や、製本・加工の技術・ノウハウなどについて説明をいたしました。
得意先のデザイナーからどのような本づくりの依頼を受けて、実際にどのような製品が完成したか、また、当初の依頼内容から、どのような経緯をたどって具現化していったかなどの経験談を重点的にお話し、受講者の方々からはご好評をいただいております。
《講座の概要》