従業員エンゲージメントとは?向上させるための施策や具体的な事例をご紹介

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従業員エンゲージメントとは、社員の企業への貢献意欲を示す指標です。 従業員エンゲージメントを高めることで、生産性の向上や離職率の低下などさまざまなメリットがあります。とはいえ、「従業員エンゲージメントは本当に重要?」「どうやって高めればいいか分からない」という方もいるでしょう。この記事では、従業員エンゲージメントの基本や高めるメリット・高める方法などを詳しく解説します。
- 目次
- 1. 従業員エンゲージメントとは
- 1-1. 従業員エンゲージメントの3つの要素
- 1-2. 従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い
- 2. 従業員エンゲージメントが重要視される理由
- 3. 従業員エンゲージメントを高めるメリット
- 3-1. 業績が向上する
- 3-2. 顧客満足度の向上につながる
- 3-3. 離職率が低下する
- 4. 従業員エンゲージメントを高める施策
- 4-1. 社内の従業員エンゲージメントの定義を明確にする
- 4-2. ビジョンや目標を社内に浸透させる
- 4-3. 明確な評価制度を設ける
- 4-4. スキルアップや教育支援を充実させる
- 4-5. 社内コミュニケーションを活性化する
- 4-6. ワークライフバランスを整える
- 5. 従業員エンゲージメントを高めた企業の成功事例
- 5-1. スターバックスコーヒージャパン株式会社
- 5-2. 株式会社小松製作所
- 6. 従業員エンゲージメントの向上は、企業価値そのものを高める
従業員エンゲージメントとは
従業員エンゲージメントとは、社員が会社に共感し自発的に貢献したいと思う意欲を示す指標です。 従業員エンゲージメントが高いほど、企業に対する信頼や思い入れが強く、企業と深くつながっている状態になります。とはいえ、従業員エンゲージメントには明確な定義・基準はありません。なにをもって従業員エンゲージメントとするかを企業独自で定義し、それに沿って高めていくことが重要です。
従業員エンゲージメントの3つの要素
従業員エンゲージメントは「理解度」「帰属意識」「行動意欲」の3つの要素から成り立っているといわれています。
理解度
ビジョンや方向性・目標などの企業への理解の度合いです。企業への理解度が高いほど方向性が一致しやすく、共感や愛着を深める要素となります。
帰属意識
帰属意識とは、企業や組織・働く仲間などの集団の一員であることへの自覚です。帰属意識が高まることで、会社や仲間との結びつきが強くなり、企業への共感や貢献したい意欲につながります。さらに、従業員同士のコミュニケーションも活性化され企業の一体感・愛着にもつながっていくのです。
行動意欲
行動意欲とは、企業のために自主的に行動する姿勢です。所属する企業に対する理解度や帰属意識が高まると、仲間と協力して目標を達成するための行動意欲の向上につながる傾向にあります。また、成果に対する適切な評価ややりがいを感じることでも行動意欲が高まります。
従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い
従業員エンゲージメントと混同しやすい言葉に従業員満足度がありますが、両者は異なるものです。
従業員満足度とは仕事や職場への満足度を示す指標です。
仕事内容や職場環境、福利厚生、待遇などの労働条件が大きく影響します。従業員満足度が高いほど企業に対する居心地の良さが高くなりますが、企業への理解度や帰属意識、貢献意欲の向上につながるとは限らないので注意しましょう。
ただし、一般的に従業員満足度が高ければ従業員エンゲージメントも向上しやすい傾向があります。従業員満足度の向上が一概に従業員エンゲージメントの高さにつながるわけではありませんが、満足度が低いと従業員エンゲージメントの向上も難しくなるでしょう。
従業員エンゲージメントが重要視される理由
近年、従業員エンゲージメントが重要視される理由の一つに、人手不足が挙げられます。
少子高齢化の進む日本では売り手市場が続いており、企業による人材確保はますます激戦化しています。しかし、採用すればその人材が長期的に活躍してくれるとは限りません。終身雇用制度の意識が薄れ、柔軟な働き方が普及している現代では、労働条件の良い企業を求めて複数回転職するケースも珍しくないのです。人材の流動化が進む中、企業にとって優秀な人材の確保と定着は、非常に大きな課題となっています。
人材が簡単に流失してしまうと、採用や教育にかけたコストが無駄になるだけでなく、業務の生産性にも大きなダメージを与えかねません。人材の流失を防ぎ長く活躍する人材を確保するには、従業員の企業への愛着心や貢献意欲を高めることが重要になってきます。そのため、従業員エンゲージメントの向上を重要と捉え、積極的に取り組む企業が増えてきているのです。
従業員エンゲージメントを高めるメリット
従業員エンゲージメントを高めることで、企業にさまざまなメリットが生まれます。具体的なメリットは3つ紹介します。
- 業績が向上する
- 顧客満足度の向上につながる
- 離職率が低下する
業績が向上する
従業員エンゲージメントが高まると企業に貢献したいという意欲が生まれ、自主的かつ積極的な行動が促進されます。その結果、業務の質が向上し、より良い商品やサービスの提供ができるようになります。これが生産性の向上をもたらし、さらに企業全体の業績向上へとつながっていきます。
顧客満足度の向上につながる
従業員が自社の商品やサービスに誇りを持ち、よりよいものを提供しようという意欲が高まれば、それを受け取る顧客の満足度も向上します。また、従業員の理解が深まることで、顧客ニーズに合わせた適切な提案や親身な対応も可能になり、顧客との良好な関係性を築きやすくなります。既存顧客の満足度が上がればリピーターの増加や口コミによる新規顧客の獲得にもつながるでしょう。
離職率が低下する
従業員エンゲージメントが高い状態であれば、従業員の企業に対する満足度や帰属意識が強まり、企業への不満を理由とした離職を防ぐことが期待できます。離職率が高いと、人材不足や採用・教育コストの増加など、企業にとっては大きなダメージです。また、企業のイメージが悪くなり、採用活動が難しくなるという悪循環に陥りやすくなります。
一方、従業員エンゲージメントが高い企業は、「従業員を大切にする企業」というイメージがつき、求職者にとって魅力的な職場となります。その結果、採用力の向上につながり、優秀な人材をも確保しやすくなるでしょう。
従業員エンゲージメントを高める施策
従業員エンゲージメントを高めるには、従業員満足度の向上や企業への理解を深める施策が欠かせません。ここでは、従業員エンゲージメントを高めるための具体的な施策を解説していきます。
社内の従業員エンゲージメントの定義を明確にする
従業員エンゲージメントには明確な統一基準がないため、まずは自社において「従業員エンゲージメントが高い状態とは何か」を定義することが重要です。その上で、具体的な指標を設定し現状を分析することで、適切な改善策や効果測定が可能になります。
ビジョンや目標を社内に浸透させる
従業員エンゲージメントの向上には企業への理解を深めることが大切です。そのため、企業のビジョンや経営理念、目標を社内に浸透させることが重要になります。
ホームページやパンフレットに掲載するだけでは、入社時に見ておしまいになりかねません。社内掲示や社内報、研修などを通じて定期的に発信し、従業員の目に触れる機会を増やしましょう。また、周年事業やプロジェクトのキックオフなど節目のイベントで、経営陣が直接メッセージを伝える場を設けることで、より強い共感を得やすくなります。
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明確な評価制度を設ける
努力や成果を適切に評価されることで、従業員はやりがいを感じ、モチベーションアップにつながります。そのため、評価基準を明確にし、目標設定・定期的な評価・フィードバックの仕組みを整えることが大切です。
さらに表彰制度や昇給・昇格のルールを設けることで、より高い意欲を引き出すことができます。ただし、評価制度は公平性があり従業員が納得できるものでなければなりません。評価基準、評価プロセスの透明性を確保し、上司と部下の間で認識のズレが生じないよう、定期的なすり合わせを行いましょう。
スキルアップや教育支援を充実させる
従業員が成長できる機会を提供し結果を出せるように導くことは、スキルアップや意欲向上に効果的です。採用時の研修だけでなく、キャリア研修や社内勉強会など、勤続年数や役職を問わず知識やスキルが習得できる機会を提供しましょう。また、昇給・昇格の基準を明確にすることで、従業員はキャリアを具体的にイメージしやすくなり、目標を持って働くことができるようになります。
社内コミュニケーションを活性化する
社内のコミュニケーションが良好・活発であれば、団結力が強くなり帰属意識や意欲の向上につながります。オープンに意見が言い合える環境が整うことで、業務の改善やトラブルの未然防止にもつながるでしょう。具体的な取り組みとして、社内イベントや交流会の開催、1on1ミーティングの導入などが挙げられます。
また、どのような社員がどんな考えで働いているかを発信する社内報や社内SNS、多くの人と気軽に関われるチャットツールなどを活用するのもよいでしょう。従業員が気軽に発言しやすい環境を整えることで、エンゲージメント向上を図ることができます。
ワークライフバランスを整える
従業員がプライベートを充実できる環境を整えることでも、従業員エンゲージメントの向上が期待できます。テレワークやフレックスタイム制度の導入、育児・介護支援制度の充実などの柔軟な勤務体系への対応や、有休休暇取得の促進といった働きやすい環境を整えることが重要です。勤務時間や場所に縛られず柔軟な働き方が提供できるようになれば、さまざまな従業員のニーズに応えられるだけでなく、採用時のアピールポイントにもつながります。
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従業員エンゲージメントを高めた企業の成功事例
ここでは、従業員エンゲージメントを高めた企業の成功事例をいくつか紹介します。
スターバックスコーヒージャパン株式会社
スターバックスには、意識の高いスタッフが多いと感じる方も多いでしょう。同社は接客マニュアルを設けていないことでも有名ですが、カップへの手書きメッセージなどのきめ細やかなサービスは従業員の自発的な取り組みです。従業員の8割以上がアルバイトであるにもかかわらず、高い意識を持ち質の高いサービスを提供できる背景には、従業員エンゲージメントの高さがあるといえます。
スターバックスでは、従業員を「パートナー」と呼び、スキルアップのための研修を充実させています。また、パートナー一人ひとりがミッションに基づいて行動できるように、ミッションやバリューの共感を深める取り組みを行っています。会社の価値観とパートナーの価値観をつなげることで、エンゲージメントを高めているのです。
さらに、個人の成長目標の設定をもとに上司や同僚がフィードバックを行う仕組みや、「グリーン・エプロン・カード制度」と呼ばれるお互いの良い行動を称え合う制度の導入などで、店舗への帰属意識や行動意欲を高めています。
株式会社小松製作所
建設機械メーカーとして国内のみならず海外でも有名な小松製作所は、従業員エンゲージメントの向上に積極的に取り組んできる企業の一つです。同社では、すべての従業員が永続的に継承すべき価値観を「コマツウェイ」として共有。社内研修や職場での定期的なミーティングに織り込み、社員の理解を深めています。
また、国内外含めて定期的にエンゲージメントサーベイを実施しています。従業員の意識や現場の状況を把握し、改善策を講じることで、エンゲージメントの向上につなげているのです。
従業員エンゲージメントの向上は、企業価値そのものを高める
従業員エンゲージメントを高めることは、一時的な満足度の向上にとどまらず、企業の持続的成長やブランド価値の強化にも直結します。従業員が自社に誇りを持ち、共に目標を目指していくことで、社内の活性化はもちろん、社外に向けた発信力や採用力の強化にもつながります。まずは、自社の課題を明確にし、従業員エンゲージメント向上のための施策を行っていきましょう。
TOPPANクロレは、従業員エンゲージメントの土台づくりを「社内ブランディング」という視点から支援しています。社内報や周年事業、採用広報をはじめとしたコミュニケーション施策を通じて、社員一人ひとりが自社の理念や価値を自分ごととしてとらえられるようサポートいたします。 「従業員の声が聞こえる組織にしたい」「採用や定着にブランディングの力を活かしたい」とお考えのかたは、ぜひお気軽にご相談ください。
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