デジタルアーカイブとは? 作り方やメリット、事例を解説

デジタルアーカイブとは? 作り方やメリット、事例を解説

マーケティング・販促

企業の歴史が長いとその活動に関連する文書や資料が増えていきます。こうした情報の山を会社のキャビネットに眠らせておくのではなく、未来の企業活動に生かそうという動きから始まったのが、企業でのデジタルアーカイブづくりです。今回は、デジタルアーカイブとは何かを解説するとともに、デジタルアーカイブを構築する手順、企業がデジタルアーカイブをつくるメリット、課題についても触れていきます。

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デジタルアーカイブとは

デジタルアーカイブとは、文書や文化資源などをデジタル化して長期保存することを指します。アーカイブをデジタル化することによって、情報を資産として半永久的に保存することが可能になります。

アーカイブ(archive)とは、英語で「公文書」「保存記録所」などの意味を持ちます。本来は、博物館や美術館が貴重な歴史的文書や作品などの記録を保存することやその保存機関のことを指しますが、最近ではデータを特定の領域にまとめて保存するといった、広い意味で使われることが多いです。

昨今では「企業アーカイブ」という言葉も生まれ、デジタルアーカイブをつくってビジネスに利用しようとする企業が増えています。

企業がデジタルアーカイブをつくるメリット

企業がデジタルアーカイブをつくると、どのようなメリットがあるのでしょうか。短期的に生じるメリットから、先を見据えた長期的なメリットまで、6つのメリットを紹介します。

保管スペースに余裕ができる

デジタルアーカイブをつくると情報をコンパクトに保管できます。会社のキャビネットが膨大な紙の資料でいっぱいになっていたり、部門の共有データサーバーに重複した情報が多数保存されていたりしませんか? アーカイブづくりを機に情報を整理することで、保管スペースを維持するコストを削減できます。

情報共有が簡単になる

「個人や部門が情報を個々に持っていて、必要な情報が入手しづらい」という経験はありませんか。デジタルアーカイブをつくって情報を一元化すると、社員同士が知識やノウハウを共有することができ、仕事の生産性が高まります。また、情報をインターネットからアクセスできるようにすれば、出張や在宅ワークの際などの仕事の効率性も高まるでしょう。

情報探索に時間を取られない

デジタルアーカイブをつくって情報を整理すると、必要な情報を探索しやすくなります。仕事を進めるなかで「誰が必要な情報を持っているか」を探し当てることに時間を費やさずにすみます。会社のあちこちに散らばった情報を探し回る時間が減ることで、本来の仕事に集中できるようになるでしょう。

企業の知的財産を蓄積できる

ジョブローテーションを繰り返す企業では、担当者が変わるたびにこれまで蓄積されてきた知識やノウハウが失われがちです。また、紙媒体の資料は保存の長期化にともない劣化を免れません。デジタルアーカイブをつくることで、社員同士での情報共有が楽になるだけではなく、半永久的に情報を蓄積していくことができます。知識やノウハウなどの企業の大切な財産を次世代に受け継ぐ仕組みがデジタルアーカイブです。

知的財産を未来に活用できる

新しい企画を考える際、過去の実績や経験から学ぶことはたくさんあります。活動の履歴や蓄積された業務ノウハウは、課題に行き詰ったときのヒントや業務効率化を考える際の参考になります。企業アーカイブは、未来のビジネスを考えるうえでのアイデアの宝庫と言えるでしょう。

企業文化を次世代へ伝えられる

製品や映像をデジタルアーカイブとして記録すれば、文書だけでは伝わりにくい「企業らしさ」を伝えることができます。新製品の開発から周年行事や社員教育に至るまで、さまざまな場面でアーカイブを活用し、創業時から脈々と流れる企業文化を後世へと語り継ぐことが可能になります。

デジタルアーカイブ構築の流れ

続いて、デジタルアーカイブを構築する流れを解説します。

1)情報収集

まずは、企業がどのような情報を持っており今後どのように活用していきたいか、目的や方針を決めます。それに基づいて、社内の隅々から情報を集めます。各部門のキャビネットやデータサーバーだけでなく、文書の保管庫の中も忘れずにチェックしましょう。紙媒体だけでなく、写真、音声、映像、物品など幅広く収集することが重要です。

2)デジタル化

各情報を媒体に合わせてデジタル化します。写真や音声、映像などの劣化が進んでいる場合は、デジタル技術で修復します。また、必要に応じて解説を加え、分かりやすく編集しましょう。

3)仕分け

デジタル化した情報を、カテゴリー、年代、イベントなどの区分別に整理します。ここできちんと仕分けをしないと検索性が低くなるので、ルールを決めてしっかり行いましょう。

4)閲覧環境の構築

最後に、閲覧するための仕組みを構築します。Webで公開するのか、DVDとして配布するのか、社員のみが閲覧できるようにするのかなど、利用目的に応じて対応しましょう。また、企業や商品の歴史は社員全員で共有する、商品開発のような機密性が高い情報は閲覧権限をつけるなど、情報に応じて閲覧環境を整備しましょう。

デジタルアーカイブの事例

昨今では、日本でもデジタルアーカイブ作りに力を入れている企業が増えています。企業におけるデジタルアーカイブづくりと活用の例を2つご紹介します。

コカ・コーラのデジタルアーカイブ

1世紀以上の歴史を持つザ コカ・コーラ カンパニーは、その歴史を後世へ伝えるべく、早くからアーカイブづくりに取り組んでいます。

1940年にはアマチュアの歴史家だったフランクリン・ミラー・ガレットが初代アーキビスト(資料編さんや管理の専門職)として就任し、以来4代にわたるアーキビストたちがコカ・コーラの歴史を記録しています。

近年では、直近50年のボトルやポスターなど計2万5千点もの資料が復元・カタログ化され、デジタル情報として整理され、社員が自由に閲覧できるようになりました。また、こうした資料の一部は、アメリカ・ジョージア州のアトランタにあるワールド・オブ・コカ・コーラ博物館やソーシャルメディアを通じて全世界のコカ・コーラ ファンにも公開されています。

NHKのデジタルアーカイブ

NHKは、過去に放送されたラジオ・テレビ番組にまつわる記録を埼玉県川口市にある施設「NHKアーカイブス」に保管しています。デジタル技術のおかげで、経年劣化した音声や映像も修復して視聴できるようになり、さまざまな時代の資料がよみがえっています。

2000年以降、NHKは過去に放送された番組のうち、優れた作品に解説を加えて再放送する活動に積極的です。また、NHKアーカイブスのホームページには、「番組」「地域」「人物」「戦争」「震災」などのテーマ別に約1万7千本の映像が整理され、貴重な映像や証言をいつでも視聴できるようになっています。

デジタルアーカイブ構築における企業の課題

企業がデジタルアーカイブを構築するに当たっては、いくつかの課題があります。

まず、アーカイブづくりで重要なことは、更新し続ける仕組みづくりです。先述のコカ・コーラでは、アーキビストという役職が独立して存在し、専門知識を活かして企業の歴史をつづる体制が整っています。アーカイブつくりに対して全社的に取り組み、企業全体の知的財産をまとめる体制をつくり、人材を育成することが必要です。

また、グローバル企業の場合は海外事業も含めたアーカイブをつくる必要があるでしょう。デジタルアーカイブの利点は、個人や部門だけでなく、国を超えた情報共有までをも可能にすることです。事業のグローバル化が進んでいるならば、海外支社とも手を取り合ってアーカイブ構築に励みましょう。

さらに、アーカイブつくりは、最終目的である「情報活用」のためにつくられなければなりません。せっかく収集した情報を活用しなければ、アーカイブをつくった意味が半減してしまいます。未来の商品企画や広告づくりのヒント、販促のアイデア探しなど、あらかじめ活用方法を想定した上でアーカイブを構築することが重要です。

デジタルアーカイブを未来の企業活動に活かそう

膨大な書類を整理する意味でも、企業に受け継がれる文化を次世代へ伝える意味でも、デジタルアーカイブつくりに取り組んで、未来の企業活動に役立てましょう。

自社のデジタルアーカイブ構築に興味をお持ちの方へ。「企業アーカイブ」を取り巻く状況や、構築する目的、一般的なアーカイブ化の進め方などを解説したお役立ち資料をご用意しています。ぜひ資料をダウンロードし、デジタルアーカイブの構築や利活用にお役立てください。

企業におけるデジタルアーカイブ3つのメリット

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