タイアップとは?コラボとの違い、メリット・デメリットや成功事例
マーケティング・販促
異なる企業が商品の開発や販売促進で協力するときに使われる「タイアップ」という言葉。最近、似たような意味で「コラボレーション(コラボ)」という言葉もよく聞くようになりましたが、その違いが分かりますか? この記事では、マーケティングの分野で活用が進むタイアップとコラボの違いや、タイアップのメリット・デメリット、成功したタイアップキャンペーンの事例などを紹介します。
- 目次
- 1. タイアップとは何か?
- 1-1. タイアップ商品
- 1-2. タイアップキャンペーン
- 1-3. タイアップ広告
- 2. コラボレーションとタイアップの違い
- 3. タイアップのメリット・デメリット
- 3-1. タイアップのメリット
- 3-2. タイアップのデメリット
- 4. タイアップを行う場合の注意点
- 4-1. 自社の利益に本当に寄与するかを確認する
- 4-2. キャラクターやタレントの権利関係を確認する
- 4-3. ステルスマーケティングは行わない
- 5. タイアップキャンペーンの事例3選
- 5-1. い・ろ・は・す×ユニクロ
- 5-2. サンリオ×HIKAKIN
- 5-3. アサヒ ドライゼロ×ランチパスポート
- 6. 相手を見極めて効果的なタイアップを実現しよう
タイアップとは何か?
ビジネスの世界では、タイアップは「提携する」という意味で使われます。一般的には複数の企業が、売上や利益、知名度を上げることを目的として提携することを言います。
タイアップはあらゆる業界で行われ、さまざまな形態がありますが、マーケティングを目的とする場合は、キャラクターや媒体の持つ力を宣伝や販促に活用するためのタイアップがよくあります。マーケティング目的のタイアップには主に次のような種類があります。
タイアップ商品
タイアップ商品とは、競合との差別化や付加価値を高める目的で、他社と協力して開発する商品です。よく見かけるのは、アニメのキャラクターがパッケージに印刷された菓子や文房具です。子どもに人気のキャラクターとタイアップすることによって、顧客層の関心を強く引きつけます。
タイアップキャンペーン
宣伝や販売促進のために他社と提携して行うプロモーション活動をタイアップキャンペーンといいます。人気アニメの限定グッズが当たる応募型のキャンペーンや、スーパーと食品メーカーが共同で行う懸賞企画をイメージすると分かりやすいでしょう。
タイアップ広告
企業が雑誌やラジオ、テレビなどのメディアと提携して、商品やサービスを宣伝する手法がタイアップ広告です。代表例として、雑誌に商品の紹介や活用事例を記事スタイルで掲載する記事広告が挙げられます。近年は、ニュースサイトや情報サイトなどに記事スタイルで表示される、Webメディアとのタイアップ広告も盛んになっています。
コラボレーションとタイアップの違い
コラボレーション(以下、コラボ)は、タイアップと同じように使われることが多いのですが、厳密には意味が違います。
コラボには「協力」や「共同作業」という意味があり、本来は芸術や創作の分野で使われていました。対等な関係にある者同士が何かを一緒に作り上げるというニュアンスを持つ言葉です。
最近はマーケティングの分野でもコラボという言葉を頻繁に見ますが、企業とアーティスト、作品、キャラクターなどが協力して、「成果物(商品)の付加価値を高める」場合に使われると考えてください。これに対して、タイアップには「商業的な成果(売上や利益、知名度)を上げる」ための提携という意味合いが強くあります。
例として、老舗シャンパーニュブランド「ヴーヴ・クリコ」と著名な前衛芸術家の草間彌生とのコラボが挙げられます。シャンパン「ラ・グランダム」コラボレーションボトルの箱とラベルには、草間彌生の手による花と水玉のモチーフが印象的にデザインされ、ヴーヴ・クリコの価値をさらに高めています。
タイアップのメリット・デメリット
ここでタイアップのメリットとデメリットを整理しておきましょう。
タイアップのメリット
- すでに認知されているキャラクターやブランド、媒体の価値をそのまま利用できる
- 人気がある商品や信頼性の高い企業と組むことで、ユーザーの信頼を得やすくなる
- タイアップ先のユーザー(ファン層)に商品やサービスの情報が届くので、ターゲットの幅が広がる
タイアップのデメリット
- タイアップ先との契約交渉や関係者との調整(権利関係ほか)が必要なため、広告やキャンペーンの実施に時間がかかる
- タイアップ先に支払う費用が高額になる
キャラクターを使用する場合にはライセンス料が必要です。また、タイアップ広告はタイアップ用のコンテンツをメディアに作成してもらうため、通常の広告よりもコストがかかります。
タイアップを行う場合の注意点
タイアップを行う際には、以下のことを事前にしっかり確認しておきましょう。
自社の利益に本当に寄与するかを確認する
タイアップ先は人気があればいいというものではありません。相手が、自社の商品の特徴やターゲットとマッチするかどうか、相性をしっかり見極める必要があります。また、タイアップにはコストがかかります。最終的な売上とコストが逆転してしまう可能性はないか、自社の利益にどの程度寄与するのかといった戦略の確認も重要です。
キャラクターやタレントの権利関係を確認する
キャラクターやタレントをキャンペーンに使う場合は、権利関係を慎重に確認する必要があります。使用範囲(メディアや販促ツールの種類等)や使用期間(著作物や肖像権の使用はいつまで許諾されているか)、ライセンス費用などの項目をタイアップ先と十分にすり合わせたうえで、契約書に明記するようにします。
ステルスマーケティングは行わない
タイアップ広告を行う際に注意しなければならないのが、ステルスマーケティング(ステマ)です。宣伝でないように見せかけて宣伝を行うステマは、消費者から反感を買う可能性が高いものです。実際にステマであることを指摘されて、インターネット上で炎上した例も少なくありません。
雑誌やWebタイアップには[PR]のクレジットを入れる、テレビドラマのタイアップでは「これはCMです」とテロップを入れるというように、宣伝であることをきちんと伝えましょう。
タイアップキャンペーンの事例3選
最後に、実際にどのようなタイアップキャンペーンが行われているのか、3つの事例を紹介します。
い・ろ・は・す×ユニクロ
ペットボトル資源の回収(い・ろ・は・す)と有効活用(ユニクロ)というエコアクションで、2020年秋に日本コカ・コーラがユニクロとタイアップした事例です。
ナチュラルミネラルウォーターブランドのい・ろ・は・すは、環境に配慮した取り組みに積極的で、100%リサイクルペットボトル素材でできたボトルの商品や、ラベルレスの商品を展開しています。ユニクロもリサイクルポリエステルを使ったフリースを販売しており、生活者が簡単に参加できるエコアクションの推進を目指して両者が手を組んだのが、このキャンペーンです。
キャンペーンの内容は、い・ろ・は・すを購入して二次元バーコードやコカ・コーラのアプリで応募すると、抽選でリサイクルポリエステル製のオリジナルフリースが1万人に、ユニクロで使えるデジタルクーポンが9万人に当たるというもの。加えて、ユニクロの全店でい・ろ・は・すの商品サンプリングも行われました。
サンリオ×HIKAKIN
最近は若年層のテレビ離れが顕著で、小中学生にリーチするにはYouTubeが最適なチャネルといわれています。そこでサンリオでは、小中学生に人気のYouTuber、HIKAKINとのタイアップキャンペーンを展開。HIKAKINが2人の娘(架空の設定)とサンリオピューロランドを訪問した動画や、自身がサンリオ製品を紹介するシリーズが注目を集め、動画の再生回数は2,900万回を超えました。
アサヒ ドライゼロ×ランチパスポート
ノンアルコールビール「アサヒ ドライゼロ」と、ランチで使えるクーポンブック「ランチパスポート」のタイアップキャンペーンは、ランチパスポートに掲載された店舗でランチを注文すると、ドライゼロが無料で飲めるというものです。平日の昼間でもノンアルコールなら飲んでも大丈夫ということを体験してもらい、飲用機会の拡大と食事との相性の良さをアピールしました。キャンペーンに参加した人からは「午後の仕事に向けていい気分転換になる」という声があったそうです。
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・マクセル株式会社様「キャラクタータイアップキャンペーン」
相手を見極めて効果的なタイアップを実現しよう
新しい商品の知名度を上げていくには時間がかかりますが、タイアップによって有名なキャラクターやメディアの力を活用すれば、短期間でマーケティングの成果を上げることが可能です。ただしタイアップの相手は、人気があればいいというものではありません。どんな相手ならばターゲットに強く響くのか、商品の特徴をしっかりアピールできるのかを見極めて選定し、効果的なタイアップ企画を実現しましょう。
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