記念誌制作の流れやポイント、参考事例を解説!心に残る記念誌を作ろう
コミュニケーション
記念誌には、お祝い事やトピックスを内外に知らしめ、未来に伝えるという記念碑的な役割があります。ページをめくるたびに記念となった出来事や、そのときの喜びがよみがえってくるような冊子を目指しましょう。ここでは印象に残る記念誌を作るための基本的な知識とポイントの解説、さらに参考となる事例を紹介します。
- 目次
- 1. 記念誌とは?社史との違い
- 1-1. 記念誌は出来事や節目の祝いを伝え、記録するもの
- 1-2. 社史は企業の歴史を伝え、残すためのもの
- 2. 記念誌を制作する目的
- 2-1. 「祝う」気持ちを表す
- 2-2. 社会におけるイメージアップ
- 2-3. メンバーのモチベーションを向上させる
- 3. 記念誌制作の流れ
- 4. 記念誌制作のポイント
- 4-1. 目的に沿った構成
- 4-2. スケジュール
- 4-3. 予算管理
- 4-4. 役割分担
- 4-5. スペースの確保
- 5. 記念誌の事例
- 5-1. 技術力を生かし、社員一人ひとりに向けた一冊を作成
- 6. 過去・現在・未来をつなぐ記念誌を残そう
記念誌とは?社史との違い
初めに記念誌の基本的な知識、社史との違いについて解説します。
記念誌は出来事や節目の祝いを伝え、記録するもの
記念誌とはその名のとおり、何らかの出来事や節目を祝うために発行される冊子や書籍です。受賞や偉業の達成といったお祝い事、各種イベントなどの記念となる出来事を内外に伝え、その経緯を記録するものです。
また、創業から〇周年のような節目となる年、年号の変更といった時代の区切りにも制作されます。企業や団体以外でも、結婚・出産・新築・退職のような個人のイベントに合わせて制作する場合もあります。
記念誌の特徴として、制作タイミングが自由であること、また構成や内容についての決まり事は特になく、自由度が高いという点が挙げられます。歴史的記述はなくても構わず、記念する「その時」にスポットを当てます。
社史は企業の歴史を伝え、残すためのもの
記念誌と似た発行物に社史があります。社史は原則として企業が制作し、自社の歴史をまとめるものです。そのため歴史的記述が必須で、過去から現在に至る企業の足跡を記します。社史編纂(へんさん)の目的とは、自社の歴史を残すことにほかなりません。
社史は、〇周年といった節目のほかに、トップの交代や株式上場といった変化のタイミングで制作されることも。創業から現在までの歴史をつづりますが、歴史の長い企業では数十年単位に区切って歴史を振り返る社史もあります。
記念誌を制作する目的
記念誌は社史と比べると自由度が高く、内容の制約もありません。記念誌を制作する主な目的を解説します。
「祝う」気持ちを表す
記念誌を制作する第一の目的は、対象となる出来事を祝い、内外にその喜びを表すことです。企業の場合には、社内のスタッフを始め、関係者やお世話になっている取引先、顧客などに配布して、喜びとともに感謝の意を伝えます。
社会におけるイメージアップ
記念誌には、その制作・発行を通して、企業、団体の功績や活動を社会に知らせるという意味もあります。記念誌を配布することにより、社会における存在価値をアピールし、将来に向けた企業の姿を広く示すことができます。
メンバーのモチベーションを向上させる
記念誌には、社内や団体内の一体感・連帯感を強める効果もあります。記念となった出来事をともに振り返ることで、社員たちは所属する組織の価値を再認識し、そこで働くことへのモチベーションを向上させることができます。
記念誌制作の流れ
記念誌制作には、一般的に1年から3年程度の期間が必要となります。完成までの流れを解説します。
- 編集委員会の立ち上げ
記念誌制作の準備としてまず行うのは、制作の実行役となる編集委員会の立ち上げです。編集作業の得意な社員を選定したり、記念する出来事に詳しい人物への参加を呼びかけたりして、適任者を集めます。
- 目的・読み手の対象の把握
記念誌制作の目的、対象とする読者層を設定し、制作の趣旨を明確にします。
- 体裁・構成の原案作成
全体のイメージ、内容についての大枠を作成します。
- 企画書の作成
原案に沿って企画書を作成し、具体的なコンテンツを決めていきます。
- 資料収集
企画書でまとめたコンテンツを構成する情報や写真の収集を開始します。必要に応じて取材や撮影を行い、イメージイラストや図表といった素材を作成します。
- 執筆
実際の原稿を執筆する作業に入ります。自分たちで原稿を書くほか、社内や関係各所に原稿を依頼する、プロのライターに依頼するというように、記念誌の内容に合わせて作業を進めます。
- デザインワーク
装丁、表紙デザイン、フォント指定、字詰め・行数、写真・イラストの配置など、デザイン全般について担当者がデザイナーと打ち合わせします。
- 入校・組版・サンプル
原稿が仕上がったら、印刷所へ入稿します。印刷所では入稿原稿をもとに組版を行い、サンプルを作成します。
- 校正
サンプルを見て、事実の誤りや誤字脱字、図版の挿入位置の誤り、デザイン的な不備がないかなどをチェックします。
- 再校・最終確認
校正の指示に従って印刷所で修正が行われます。再校の回数は印刷会社との契約によって異なります。
- 印刷・製本・納品
校正終了後、印刷が開始されます。印刷が完了したものは製本所に回され、記念誌となって納品されます。
記念誌制作のポイント
思いどおりの記念誌をスムーズに制作するためには、いくつか気を付けたいポイントがあります。その主なものを解説します。
目的に沿った構成
記念誌を制作するうえでは、企画の段階で記念誌の「軸」をしっかり確定し、目的や記念する対象がぶれないように構成することが重要です。
関係者のインタビューや座談会、記念誌制作に至る背景、関連する項目の範囲など、どんなコンテンツが必要かを精査し、バランスの取れた構成を目指します。記念誌として、過不足のない一冊となるように注意しましょう。
スケジュール
行事や配布のタイミングからさかのぼって、全体を通して無理のないスケジュールを組む必要があります。プロセスごとに締め切りを設定するとともに、最終的なリミットはいつまでか、印刷や製本期間を頭に入れながら進行を管理します。
原稿執筆・資料収集は遅れる場合もあります。遅延を想定したうえで、余裕を持って時間を配分していきましょう。
予算管理
予算は、企画全体、紙質、ページ数、掲載内容に大きく影響します。編集費用・外注費用・印刷費用に関して概算見積もりを取り、予算の範囲内で最適な選択をします。
役割分担
編纂担当者の選定と既存業務との調整は、記念誌制作を実施するうえで大きな課題になります。編纂担当者として必要とされる適性・責任感・リーダーシップを見極め、慎重に選定を行います。
役割分担を決める際には、担当者だけに負担がかからないように、フォロー体制も整備しましょう。
スペースの確保
忘れてしまいがちですが、編集作業を行う場所の確保も大切です。相当な量が予測される資料の一時的な保管場所、作業スペース、打ち合わせスペースなど、十分な場所を提供して編集作業が円滑に行えるようにします。
記念誌の事例
最後に当社が創業100年に制作した記念誌を紹介します。
技術力を生かし、社員一人ひとりに向けた一冊を作成
TOPPANクロレでは、同社のPOD(プリントオンデマンド)の技術を駆使して、100周年記念誌「HERO&HEROINE」を制作。従業員一人ひとりに、それぞれの入社式の写真や勤務記録、生まれた年の新聞記事などが掲載された記念誌を配布しました。
創業時最初に手掛けた印刷が「荷札」だったことから、荷札をつけた当時の小包を表現した装丁も個性的です。100周年の動画コンテンツを収録したDVD付きというアイデアも光ります。
過去・現在・未来をつなぐ記念誌を残そう
記念誌は企業や団体の記念となる出来事にフォーカスするものですが、そこにとどまるものではありません。記念となる出来事までの道のりから今後の発展までを感じさせる、未来に向けたメッセージでもあります。記念誌の制作には多くの時間と労力が求められますが、手順を踏みながら一つひとつ作業を進めれば、素晴らしい成果を生むことができます。企業や団体のブランドに寄与する記念誌を目指し、じっくり制作していきましょう。
記念誌の制作を検討している方へ。TOPPANクロレは、記念誌の制作を含め周年事業全般についての疑問や悩みにお答えして、お客様をサポートします。どんなことでもまずはご相談ください。
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