ブランドコンセプトとは?作り方や作成のポイント、事例を紹介
マーケティング・販促
ブランディングを成功させるための要素は複数ありますが、そのなかでも特に重要なものがブランドコンセプトです。ブランドコンセプトがしっかりと定義されていれば、ブランドの価値を内外に明確に示すことができます。この記事では、ブランドコンセプトとは何か、作り方、ポイント、ブランドコンセプトの事例までを紹介します。
- 目次
- 1. ブランドコンセプトとは
- 1-1. ブランドとブランディング
- 2. ブランドコンセプトはなぜ重要か
- 3. ブランドコンセプトの作り方
- 3-1. 現状を把握する
- 3-2. ターゲットを絞り、考察する
- 3-3. ブランドが提供する価値を明らかにする
- 3-4. ブランドストーリーを考える
- 3-5. ブランドコンセプトを言語化する
- 4. ブランドコンセプトを作るときの3つのポイント
- 4-1. 1.分かりやすい簡潔な表現になっているか
- 4-2. 2.他社にはない独自性を伝えているか
- 4-3. 3.社会やターゲットの要請に応えているか
- 5. ブランドコンセプトの事例
- 5-1. 「10分のみだしなみ」QBハウス
- 5-2. 「A LIFE OF COLOR 好きな「いろ」で生きよう。笑おう。」Francfranc
- 6. 長く愛されるブランドになるには、的確なブランドコンセプトが必要
ブランドコンセプトとは
ブランドコンセプトとは、ブランドの核となる概念である「ブランドの価値」を言語化し、表現するものです。
具体的に言えば、ブランドが人々や社会に対して「果たすべき使命」や、ブランドが「どのような価値を提供するのか」を分かりやすく伝え、「ブランドらしさ」を端的に表現するものが、ブランドコンセプトと言えるでしょう。
ブランドとブランディング
ブランドコンセプトについて詳しく説明する前に、まずはブランドとブランディングの意味を確認しておきましょう。
ブランドは、企業自体や商品・サービスの「他社とは異なる独自の価値」が多くの人に共感、共有されることによって成立します。ロゴや商品自体のような「形」があるものではなく、人々の頭の中にある共通のポジティブな「イメージ」を指します。
ブランディングとは、ブランドを構築する活動全般を言います。独自の価値をできるだけ多くの人に伝え、共感を呼び、ブランドに対して愛着、信頼感を持ってもらうための取り組みです。
ブランドコンセプトは、こうしたブランドの核心を表現し、ブランディングの軸となるものです。
ブランディングに関する詳しい解説は下記のコラムでご覧いただけます。
・ ブランディングとは?意味や目的、成功のポイントを解説
ブランドコンセプトはなぜ重要か
ブランディングが成功してブランド価値が高まれば、ファンやリピーターが増え、市場競争力が上がります。その結果、LTV(Life Time Value:1人の顧客が取引の開始から終わりまでの間にもたらす利益の総額)が向上し、経営を長期的な安定に導くことができます。
しかし、どんなに素晴らしい商品やサービスを提供しても、その価値を言語化できていなければ、消費者や取引先にうまく伝わらず、共感を得るのは難しいでしょう。
また、ブランドコンセプトが揺らいでいれば、社内や協力会社のスタッフの間でもブランドに対する認識や解釈がぶれて、ブランディング活動に一貫性がなくなります。その結果、同じブランドなのに方向性が異なる商品が存在したり、チャネルやターゲットごとに訴求するイメージがバラバラになったりするリスクが生じます。
このように、ブランドコンセプトがあいまいでは、商品やサービスの価値を十分にアピールすることができません。価値が消費者や取引先に伝わらなければ、共感を得ることができず、ファンを増やすこともできないでしょう。ブランディングの成功には、明確なブランドコンセプトが不可欠なのです。
ブランドコンセプトの作り方
次に、ブランドコンセプトを作るプロセスを紹介します。
現状を把握する
まずは、調査やマーケット分析を行い、現在の市場におけるポジションや、強み、弱み、競合の状況といった現状を把握します。
ターゲットを絞り、考察する
自社の商品、サービスをどんな人に届けたいか、どんな層であれば商品・サービスを必要とし、提供する価値に共感してもらえるかを考えます。ターゲットを絞り込むときには、前述のマーケット分析の客観的なデータを参考にしましょう。
次に、絞り込んだターゲットについて、どんなし好があるのか、どんな悩みや不満があるのか、よく接触するメディアは何か、どんな生活スタイルを持っているのかなどを、できるだけ具体的に考察していきます。
ブランドが提供する価値を明らかにする
ターゲットに提供する価値
ターゲットの生活において、自社の商品、サービスがどんなプロフィット(利益や利便性)を提供し、どう悩みを解決するのかを考えます。ブランドコンセプトを定めるには、競合とは異なる、自社だからこそ「できること」を見つけることが大切です。
社会に提供する価値
個々の顧客、取引先にとっての価値だけでなく、商品やサービスの社会における使命や存在意義も定義しましょう。自社の商品、サービスによってどういった新しい市場をつくり上げたいのか、社会や暮らしの未来にどんな影響を与えるのかなどを考えていきます。
ブランドストーリーを考える
さらに、商品、サービスの特徴、誕生の歴史やプロセス、そしてそこに込めた理念や想いなどを振り返りましょう。これらをブランドストーリーとして整理し、まとめることで、その商品、サービスならではの独自の価値に、裏付けと説得力を与えることができます。
ブランドコンセプトを言語化する
最後に、明確にしてきた商品、サービスが提供する価値やブランドストーリーのなかからキーワードを抽出し、シンプルな表現に落とし込む作業を行います。
考えたブランドコンセプトは、「ブランド価値を端的に伝えているか」「誤解を生む余地はないか」といった視点から、複数人で確認、推敲(すいこう)を重ね、ブラッシュアップします。
ブランドコンセプトを作るときの3つのポイント
ブランドコンセプトを作成する際にチェックしたい3つのポイントを解説します。
1.分かりやすい簡潔な表現になっているか
ブランドコンセプトはキャッチコピーではないので、かっこよさや奇抜さは不要です。目を引くことよりも、誰にでも分かりやすい、簡潔な表現になるよう心がけます。
業界用語や流行語、造語などは理解されにくかったり、人によって解釈が変わったりすることがあるため、避けた方がよいでしょう。
2.他社にはない独自性を伝えているか
競合にはない独自の価値を明確に伝えることが、ブランディングの基本です。ほかのブランドとは異なる自社のブランドならではの本質を十分に伝えられているかを確認します。
3.社会やターゲットの要請に応えているか
自社の商品、サービスが、ターゲットや社会が抱える悩みや不満の解消につながったり、願望を実現したりしていることを、きちんと表現できているでしょうか?
潜在的なニーズも含め、社会の要請に応える商品やサービスであることを伝えられれば、価値あるブランドとして認知され、共感と支持を集めることができるはずです。
ブランドコンセプトの事例
最後に、ブランドコンセプトの成功事例を紹介します。
「10分のみだしなみ」QBハウス
キュービーネットホールディングス株式会社が運営するQBハウスは、多忙なビジネスマンをメインターゲットに、“省時間”で髪を整えられるヘアカットサービスとして、全国に591店を展開しています(※)。
低価格、短時間、高利便性(通行量の多い場所への立地)を実現し、ヘアカットのみの提供、予約なしという5つの手軽さを打ち出すQBハウスのブランドコンセプトは「10分のみだしなみ」。短い隙間時間で手軽に髪を整えたいというニーズに応えるブランドであることを端的に表現しています。
※出典:「数字で見るQB HOUSE」。店舗数は2022年6月現在のもの
「A LIFE OF COLOR 好きな「いろ」で生きよう。笑おう。」Francfranc
カラフルなインテリアや雑貨を販売するFrancfranc(株式会社Francfranc)のブランドコンセプトは、「A LIFE OF COLOR 好きな「いろ」で生きよう。笑おう。」
Francfrancの1号店がオープンした1990年台前半には、家具の色と言えば茶系やグレー系が主流でした。そんななか、同社では南仏の自然からインスピレーションを得た、色鮮やかな家具や雑貨を販売し、本当に好きなものに囲まれて過ごすライフスタイルを提案してきました。
色は、日常を心弾むものにするアクセントになります。一人ひとりにそれぞれが好きな「いろ」を届けて、みんなを笑顔にしていきたいという姿勢を伝えるブランドコンセプトです。
長く愛されるブランドになるには、的確なブランドコンセプトが必要
ブランディングを成功させる鍵とも言えるのが、ブランドの価値を端的に表現するブランドコンセプトです。しっかりとしたブランドコンセプトを作ることができれば、ほかにはないブランド独自の魅力を伝え、顧客や取引先の共感を呼ぶことが可能になります。長く愛され続けるブランドとなるためにも、「らしさ」が伝わるブランドコンセプトを考えましょう。
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