広報誌とは?発行の目的や制作のポイントを解説

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広報誌とは、企業や団体、自治体が、顧客や市場、地域の人たちに向けて制作・発行する冊子です。広報誌を作成する際には、その意義や目的を十分に共有したうえで進めることが重要です。広報誌を発行する目的や制作手順、「求められる広報誌」を作るためのポイントを紹介します。
- 目次
- 1. 広報誌とは何か
- 1-1. 広報誌と広報紙の違い
- 2. 広報紙の目的と役割
- 2-1. 業界団体
- 2-2. 一般企業
- 2-3. 自治体・官公庁
- 3. 「読まれる広報誌」を制作する5つのポイント
- 3-1. 編集方針を共有する
- 3-2. 「おもしろい」広報誌にする
- 3-3. 視覚的に読みやすくする
- 3-4. 元気の出る広報誌にする
- 3-5. 責任と権限を明確にする
- 4. 広報誌の制作手順
- 4-1. 1.企画立案
- 4-2. 2.原稿作成
- 4-3. 3.デザイン・制作
- 4-4. 4.印刷・配布
- 5. 発行目的を明確にして読まれる広報誌に
広報誌とは何か
広報誌とは、企業や団体、自治体などの組織が顧客や市場、地域の人たちに向けて制作・発行する冊子です。
主に、企業・団体・自治体が行っている活動や、組織を構成しているメンバーの動向などを広く伝えて知ってもらうことを目的に発行されています。
広報誌と広報紙の違い
公益社団法人日本広報協会によると、広報誌と広報紙の違いは以下のように説明されています。
新聞紙が「紙」、雑誌が「誌」と使い分けられているように、タブロイド判など新聞紙型の場合は「広報紙」、A4判などの雑誌型の場合は「広報誌」と表記するのが、一般的な考え方と言えるでしょう。
参考:公益社団法人日本広報協会
上記のように、雑誌型か新聞紙型で使い分けられることが多いようです。
それ以外にも、広報誌と会報誌では以下のような違いあります。
広報誌
- 雑誌のような形式で、カラー印刷や写真が多く、デザイン性が高い
- 内容が多彩で、特集記事やインタビュー、読み物的な要素が強い
- 発行頻度は月刊・季刊・年刊など比較的長いスパン
- じっくり読んでもらうことを目的としている
広報紙
- 新聞のような形式で、白黒印刷が多く、シンプルなレイアウト
- 情報伝達がメインで、行政の最新情報やお知らせが中心
- 発行頻度は週刊・月刊など比較的短いスパン
- 迅速に情報を届けることを目的としている
広報紙の目的と役割
広報誌の目的や役割は、発行元別によって変わります。それぞれ詳しく紹介します。
業界団体
業界団体とは「ある特定の産業にかかわる企業や、ある特定の業務にかかわる個人を会員として構成される非営利団体」(出典:デジタル大辞泉)のことです。業界団体の広報誌のメインコンテンツは、会員企業の紹介です。あわせて新技術・新製品の紹介なども行います。また、海外での業界動向、研究論文の解説、書評など専門的な内容が多いのもこのような広報誌の大きな特徴です。
一般企業
一般企業の社内向け広報誌は、社内報とも呼ばれます。社内でのイベントや伝達事項などを伝える役割を担っており、社内コミュニケーションの強化のために、さまざまな部門の活動や新入社員の紹介などを扱うことが多いようです。社員の家族も読めるようにすることで、社員が働く環境について家族から理解を得るためのツールにもなります。
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社外向け広報誌の役割は、商品だけでなく、その企業のさまざまな情報を社会へ発信し、社会からの信頼と支持を得ることです。社外広報誌に掲載する情報は企業としての公式な情報やメッセージです。各部門が相反する情報を社外に発信したり、誤った情報が伝わってしまうことのないよう、発信する情報は必ず広報誌の責任者が確認し、社内で統一するようにしましょう。
自治体・官公庁
自治体や官公庁が、行政の考えていることや行おうとしていること、あるいは将来のビジョンなどを住民に知らせるうえで、広報誌は大きな力を発揮します。広報を行う能力は、地方自治に関わるすべての人々にとって非常に重要な能力となっています。近年ではハザードマップや避難情報など災害のための情報を広く伝えるのも広報誌の重要な役割のひとつとなっています。
「読まれる広報誌」を制作する5つのポイント
広報誌を制作する際に、「読まれる広報誌」にするためにはどのような工夫が必要なのでしょうか。ここでは、そのための5つのポイントを紹介します。
編集方針を共有する
広報誌を成功させるためには、企画・取材・編集に関わるメンバー全員が、発行の意義や目的をしっかりと共有することが重要です。共通の認識がないまま制作を進めると、コンセプトや方向性がぶれてしまい、一貫性のない内容になりかねません。企画段階で以下のような点を確認しましょう。
- 企業理念やビジョンの浸透:
企業の理念やビジョンをどのように表現し、広報誌を通じて社員や関係者に浸透させるか。 - 経営情報の共有:
全社共通の目標を明確にし、社員の意識向上や実践を促すためにどのような情報を発信するか。 - 部署間のコミュニケーション促進:
部署間や職場間の相互理解を深めるために、広報誌でどのような工夫ができるか。 - 企業の活性化とモチベーション向上:
社員の意識改革やモチベーション向上につながるコンテンツをどう盛り込むか。 - 社内文化の醸成:
企業文化を形成し、社員に定着させるために広報誌をどのように活用できるか。 - 社会との信頼関係構築:
企業と顧客、取引先、社員の家族などをつなぐパイプ役として、広報誌がどのような役割を果たせるか。
「おもしろい」広報誌にする
編集部が「これは面白い!」と思っても、読者が興味を持ってくれるとは限りません。読者目線に立ち、本当に価値のある企画かどうかを慎重に検討しましょう。
企画が決まったら、次は「どのように伝えたら面白く読んでもらえるか」を考えます。特に、スマホやSNSに慣れた読者は、硬い文章や文字量の多い記事を敬遠しがちです。適切な表現方法を選び、簡潔で分かりやすい文章を心がけましょう。
視覚的に読みやすくする
読者に伝わりやすい広報誌にするためには、デザインやレイアウトも重要です。以下の点に注意しましょう。
- 写真やイラストの活用:文章だけでなく、視覚的な要素を取り入れて内容を補強する。
- レイアウトの工夫:余白を適切に取り、文字が詰まりすぎないようにする。
- フォントと文字サイズの最適化:読みやすいフォントを選び、年齢層に合わせた文字サイズを設定する。
- 紙媒体以外の展開も考える:ウェブ版や動画コンテンツを活用し、多様な媒体で発信する。
元気の出る広報誌にする
広報誌は、単なる情報発信ツールではなく、読者に前向きな影響を与えることも大切です。記事を通じて、読者が新しいアイデアを思いついたり、モチベーションが高まったりするような構成を意識しましょう。
- ポジティブな内容を取り入れる:成功事例や挑戦する姿勢を伝える。
- 読者の関心を引くストーリーを展開する:共感を生むエピソードを交えて紹介する。
- 読者参加型の企画を取り入れる:アンケートや投稿コーナーを設けることで、読者との双方向のコミュニケーションを図る。
責任と権限を明確にする
広報誌の制作では、多くの企画が持ち上がりますが、全員の意見が一致するとは限りません。企画段階で合意が取れても、取材や編集の過程で意見が分かれることもあります。そのため、最終的な判断を下す責任者を明確にしておくことが重要です。
- 編集責任者を決める:意見が対立した際の調整役を決めておく。
- 意思決定のフローを明確にする:誰が最終的な決定を下すのか、どのタイミングで確認を行うのかを整理する。
- スケジュール管理を徹底する:締め切りを守るために、各工程の進行状況をチェックする。
これらの5つのポイントを意識することで、読者にとって魅力的で、しっかりと読まれる広報誌を作ることができます。
広報誌の制作手順
ここでは広報誌をつくるプロセスと注意点について簡単に紹介します。
1.企画立案
企画会議
広報誌全体のテーマや主要な企画について、ブレインストーミングなどを行いメンバーが自由に話し合って決めます。特に創刊号では時間をかけて行います。
企画立案には、「オズボーンのチェックリスト」や「シックスハット法」といったフレームワークも活用できます。詳しくは以下のeBookをご確認ください。
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編集会議
企画会議で全体の方向が決まったら、個々の記事のタイトルイメージと内容、ページ数などを決めます。また、取材が必要かどうか、担当者は誰にするかについても決定します。全体のバランスをみながら検討してきましょう。
ラフレイアウト
編集会議で決めた内容にもとづいて、誌面のレイアウトを行っていきます。写真やイラストの配置、各記事の大まかな文字数もこの段階で決めます。
2.原稿作成
原稿依頼
社内外のライターに、企画内容や目的、ターゲット(読者)、文字数、〆切を明確に説明したうえで原稿を依頼します。
取材
取材が必要な記事については、取材相手や場所、アポイント、謝礼、同行するメンバーなどについてしっかりとした計画を立てることが必要です。
写真撮影
専属のカメラマンに依頼する場合のほか、ライターが撮影を兼任する場合もあります。取材撮影の場合には撮り直しできないものもありますので、特に細心の注意が必要です。
見出し作成
記事を読んでもらえるような魅力的な見出しを考えます。原稿作成と同様、あるいはそれ以上に重要な作業です。
入稿・原稿整理
ライターから原稿が集まってきたら、誤字や脱字、わかりにくい表現はないかなどをチェックし、そういった不備があれば訂正するとともに、企画した意図どおりの内容であるかどうかについても吟味します。場合によっては書き直しを依頼します。
3.デザイン・制作
レイアウト・DTP制作
印刷するためのデータを作成します。集まった原稿や写真を配置し、誌面を作成していきます。DTP制作を社内で行う場合には、このデータをそのまま印刷現場に渡します。制作会社や印刷会社にアウトソーシングすることもできます。
校正
印刷会社に入稿するための最後の作業です。誤字や脱字がないかどうかの最終チェックをします。
4.印刷・配布
入稿
いよいよ入稿です。印刷会社に印刷用のデータを送ります。
色校正
必要に応じて、印刷会社から提出される校正紙で色調などを確認します。
印刷・製本
印刷・製本会社にて広報誌を製造します。
配布
お疲れ様でした! 広報誌の完成です。完成した広報誌を読者に配布します。
発行目的を明確にして読まれる広報誌に
企業にとって価値のある広報誌をつくるのに最も重要なことは、広報誌の基本的な目的や存在意義、果たすべき役割や重要性について関係者がきちんと理解・共有することです。また、読まれる広報誌にするためには、読者を理解し、読者にとって興味深く分かりやすい内容、視覚的に読みやすい表現にする必要があります。
広報誌のつくり方について、全体の計画から完成・配布まで段階を追って注意すべきポイントも紹介しました。基本的な広報誌づくりの要素を押さえたうえで広報誌制作を始めましょう。
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