会員制ビジネスとは?仕組みやメリット、成功事例を紹介

会員制ビジネスとは?仕組みやメリット、成功事例を紹介

マーケティング・販促

スポーツジムやファンクラブ、SNSなど、世の中には会員登録をして利用するさまざまなサービスがあります。このような会員制サービスを運営することは、企業にとってどんなメリットがあるのでしょうか? この記事では、会員制ビジネスのマネタイズの仕組みやメリット、ビジネスモデルの種類、成功事例などを紹介します。

会員制サービス運営のポイント

会員制ビジネスとは

会員制ビジネスとは、個人情報の登録とサービス利用の同意を得て、利用者に商品・サービスを継続的に提供することで収益を得るビジネスを指します。

会員制ビジネスには、有料・無料、オンライン・オフラインを問わず、幅広く多種多様なサービスがあります。

例えば、スポーツジム、ゴルフ会員権、ファンクラブ、クレジットカード、ECを含むショップ会員などさまざまで、SNSのようにユーザーが「会員」という意識を持たずに利用しているものもあります。最近人気のサブスクリプションサービスも、会員制ビジネスのひとつです。

会員制ビジネスが注目される理由

2019年に始まったコロナ禍によって、多くの企業が「対面営業」や「大人数の集客」といった従来のマーケティング施策の見直しを迫られました。その結果、顧客を囲い込み、継続的、安定的に売上を上げ、LTV(LifeTimeValue=顧客生涯価値)を向上させるマーケティング戦略が重要視されるようになったのです。

なかでもファンを獲得し、ファン化を促進するための有効な手段として注目されているのが、会員制ビジネスです。

会員制ビジネスのマネタイズの仕組み

会員制ビジネスで収益を上げる仕組みには、主に次の2つがあります。

有料会員制

会員は入会金や年会費・月会費、会員権の購入といった形で費用を支払い、サービスを利用します。そのため事業者は、会員の利用の有無にかかわらず、定期的に収入を得られます。

そのほか、入会金や年会費に加えてサービスの利用ごとに課金するパターンや、オプションサービスを有料で提供するパターンもあります。

無料会員制

入会金や会費が無料のビジネスには、会員が購入、利用した商品やサービスの代金を収入源とするタイプと、SNSのように会員は費用を負担しないタイプがあります。

前者の会員は、自社に親和性を持ち、一定の個人情報を取得しているマーケティング施策の対象です。そのため、入会のハードルを下げ、なるべく多くの会員を囲い込むことを目指します。

一方、会員との間に金銭のやりとりがない会員制度に多いのが、会員に広告を表示することで、広告費を集めるインターネットのサービスです。会員数や閲覧数が増えることで、広告媒体としての価値が上がります。

会員制ビジネスのメリット

次に、会員制ビジネスの主なメリットを解説します。

継続的、安定的な収入の確保が見込める

前述のように、会員制ビジネスでは安定的な収入の確保が見込め、日々の売上に追われる状況から脱却できます。価格競争が不要となり、費用を商品・サービスの開発、改善などに計画的に回せるため、ビジネスの好循環が期待できます。

新規顧客の開拓よりコスト効率が良い

新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍必要と言われます(1:5の法則)。また、顧客離れを5%改善できれば、最低でも25%の収益向上が見込めるとも言われます(5:25の法則)。

会員制ビジネスでも新規会員の募集は必要ですが、会員(既存顧客)との関係性を維持できれば、売上における新規顧客への依存度を下げ、その分、コストを抑制することができます。

効果的なマーケティングの実施が容易になる

会員情報は企業の大事な資産です。会員の属性や行動履歴のデータを分析することで、的確なマーケティング施策を立案でき、費用対効果を上げることができます。

会員の情報や声を活用できる

会員情報をもとに会員と直接コミュニケーションを取れる点もメリットです。

相手に合わせたきめの細かいアプローチを行い、会員との関係性を強化することができます。生の声やアンケートからニーズをつかみ、商品やサービスの開発、改善につなげることも可能です。

顧客ロイヤルティが向上する

会員制ビジネスでは、会員との良好な関係を長期にわたって継続、強化することが重要です。会員へのきめ細かいアプローチやより良い商品・サービスの提供は、会員の満足度を上げ、顧客ロイヤルティ(信頼、愛着)を向上させます。そして、顧客ロイヤルティの向上は、利用頻度や利用金額を上げ、競合より自社の商品を選択させる動機付けになります。

会員制ビジネスモデルの種類

会員制ビジネスは主に次の5つに分類できます。

施設・店舗型

スポーツジム、美容室、カルチャースクール、レンタルスペースなどのリアルな施設や店舗を、ユーザーが訪れて利用するサービスです。

主な収入は、会費や購入、利用ごとの支払いです。

情報提供型

有料のメールマガジンや動画配信サービス、ニュースサイトといった、ほかでは得られない情報を会員に提供して対価を得るビジネスモデルで、多くがインターネット上のサービスです。

情報提供型はサブスクリプションが主流で、単価は一般的に低めです。しかし、コンテンツを一斉配信することが多いため、会員が増えるほど利益率が上がります。

コミュニティ型

ファンクラブ、オンラインサロン、クラウドファンディングといった共通の趣味や関心を持つ会員を集めて行うビジネスです。

具体的には、ほかでは得られない情報や知識の提供、イベントの開催、特典の付与、交流の場の提供などを行います。

収入は会費が中心になりますが、イベントチケットやグッズの販売が大きな収入源となる場合もあります。

商品提供型

購入者に個人情報を登録させるECサイト、店舗はすべて商品提供型の会員制ビジネスです。

なかでも定期購入、定期利用に適した商品・サービスでは、会員制のメリットが大きくなります。例として、サプリメント、化粧品、洗剤、食材の宅配などの販売、ウォーターサーバーのレンタルなどが挙げられます。

収入はその都度の購入、利用代金となりますが、最近では、ファッションレンタルやオーディオブックのようなサブスクリプションサービスも人気です。

専門性のある人的サービス型

カウンセラーや講師、コーチ、コンサルタントなど、特別な知識を持つ専門家が会員にノウハウを伝えたり、アドバイスを行ったりして対価を得るタイプです。

語学講座や料理教室、コンサルティング、カウンセリングなど、幅広い分野のサービスが登場しています。

主な収入源は入会金や会費です。

会員制ビジネスの事例

会員制ビジネスの成功事例を紹介します。どの例もほかにはない自社ならではの価値を提供し、会員の満足度を高めることが成功につながっていることが分かります。

食の目利きがこだわって選んだ食材が全国から届く[やっちゃば倶楽部]

株式会社マイファームが運営する「やっちゃば倶楽部」は、食材・加工食品の会員制宅配事業です。

マイファームは、生産事業のほかに収穫・農業体験や農業の学校なども行う、“自産自消”の実現を目指す企業。やっちゃば倶楽部では、そのノウハウをもとに、鮮度や品質、安全性にこだわり抜いた商品を提供しています。特に生鮮食品は豊洲市場の仲卸が厳選。少量の注文や、魚をおろしてほしいといった希望にも対応してくれます。

会員登録は無料ですが、プレミアム会員(825円/月)は全商品の送料が無料。生鮮が中心のため送料は一律1,210円(北海道・九州エリアは2,200円)と高めなので、定期的に利用する人はプレミアム会員になる価値がありそうです。

会費を払っても“ここでしか買えない”商品がある[コストコ倉庫店]

米国発の会員制スーパーマーケット「コストコ倉庫店」には、米国仕様の大容量で格安の、コストコでしか買うことができない商品が豊富にそろっており、特に若いファミリー層から絶大な人気があります。

会員には法人会員と個人会員があり、個人会員の年会費は4,840円で、それぞれのアップグレードも用意。

国内に31店舗を展開している(2022年6月23日現在)ほか、会員になるとオンラインショップも利用できます。

CRMを導入し、会員種別ごとの細かい特典を実現[東京ヤクルトスワローズ]

プロ野球の東京ヤクルトスワローズのファンクラブ「Swallows CREW」には、キッズ会員(年会費2,000円)からプラチナ会員(同1万3,300円)までの5つの会員種別があり、種別ごとに特典やチケットの割引・優先販売の度合い、独自のポイントの付与率などが細かく分かれています。

こうした複雑な条件への対応は、ファンクラブ向けCRM(顧客関係管理)ツールの導入により可能になりました。加えて積極的にアンケートや調査を行い、ファンの声や行動を分析。ファンとの接点の在り方を検討し、特典のブラッシュアップを続けることで、チケット販売数や会員数の増加に成功しています。

自社が提供できる価値を見極めて、安定収入が見込める会員制ビジネスに挑戦を

会員制ビジネスは、継続的、安定的な収入が見込めるビジネスモデルです。ただし、会員制ビジネスを成功させるには、そこでしか得られない価値を継続的に会員に提供していく必要があります。会員制ビジネスを考える際には、自社が会員に提供できるのはどんな価値か、どうすれば喜んで会員になりたいと思ってもらえるのかを十分に見極めていく必要があります。

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会員制サービス運営のポイント

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