ブランディングデザインとは?役割や成功のポイント、事例も紹介

マーケティング・販促
近年では、多くの企業が自社や商品の独自性や優位性を印象づけるためのブランディングに力を入れています。ブランディングにはさまざまな手法がありますが、なかでも消費者や取引先がブランドを認識する「手がかり」となるのが、ブランディングデザインです。今回は、ブランド構築におけるブランディングデザインの重要性やその役割、効果的にブランディングデザインを行うためのポイントと成功事例を解説します。
- 目次
- 1. ブランディングデザインとは?
- 1-1. ブランディングとは?
- 1-2. ブランディングデザインとCI、VI
- 2. ブランディングにおけるデザインの役割
- 2-1. 多くの情報量でブランドの価値や世界観を伝える
- 2-2. 感覚を通してブランドメッセージを伝える
- 2-3. さまざまな接点で統一されたイメージを伝える
- 3. ブランディングデザインを成功させるポイント
- 3-1. ブランドコンセプトを明確にする
- 3-2. ブランドメッセージを適切に表現する
- 3-3. イメージ、世界観を統一する
- 4. ブランディングデザインの成功事例
- 4-1. 雄牛の図と強い色の組み合わせがブランドの力強さを強調する[レッドブル]
- 4-2. 多様性や分かりやすさを印象づけるカラフルでポップなロゴ[Google]
- 5. ブランディングデザインは、“ブランドらしさ”を直感的に伝える企業の顔
ブランディングデザインとは?
ブランディングデザインとは、企業ブランド、商品、サービスのブランドコンセプトを視覚的に伝える方法です。ブランドの構築におけるデザイン表現のすべてを指しています。基本的な要素とその仕様を決めたうえで、商品や宣伝素材のデザインに展開します。
ブランディングデザインの基本的な要素
- テーマカラー
- 企業やブランドのロゴ
- シンボルマーク
- 指定フォント など
- 商品パッケージ
- 広告、パンフレット
- Webサイトデザイン
- 看板
- 店舗の内装、外装 など
ブランディングデザインを展開する対象
- 商品パッケージ
- 広告、パンフレット
- Webサイトデザイン
- 看板
- 店舗の内装、外装 など
ブランディングとは?
ブランドは、自社の商品やサービスが、「他社とは違うもの」として消費者や顧客に認識されることによって成立します。そしてブランディングとは、自社独自のあるべき姿と価値を広く認識してもらうための活動全般を指します。そのなかのデザイン表現に関わる活動がブランディングデザインです。
ブランディングに関する詳しい解説は下記のコラムでご覧いただけます。
・ ブランディングとは?意味や目的、成功のポイントを解説
ブランディングデザインとCI、VI
企業のマークやコーポレートカラーに関連して、CI(コーポレートアイディンティティ)やVI(ビジュアルアイデンティティ)といった用語を聞いたことがある人も多いでしょう。
CI(コーポレートアイディンティティ)とは、企業理念や特性、文化など他社とは異なる自社の個性を、統一したメッセージとして発信することを言います。マークやカラーといったビジュアル要素だけでなく、企業のスローガンやコピーなども含みます。
CIとブランディングはよく似ているようですが、CIが「自分たちはどうありたいか」というメッセージの発信であるのに対し、ブランディングは「消費者や顧客がイメージする自社の価値を高める」活動であるという点が違います。
CIに関する詳しい解説は下記のコラムでご覧いただけます。
・ CI(コーポレートアイデンティティ)とは?CI刷新の事例やメリットを紹介
一方、VI(ビジュアルアイデンティティ)は、企業の価値やコンセプトを可視化するための統一的なデザイン要素(シンボルマークやロゴマーク、カラー、指定フォントなど)の総称です。ブランディングデザインを考える際にもよく使われる用語です。
ブランディングにおけるデザインの役割
では、ブランディングデザインはブランド構築において、どのような役割を果たすのでしょうか。
多くの情報量でブランドの価値や世界観を伝える
視覚(目)は、人間の五感のなかでも、最も多くの情報量を受け取ります。そのため、ビジュアルはテキストに比べてより多くの情報を一瞬で発信できるのです。ブランドの価値や世界観といった奥行きのある情報を、小さなスペースで、かつ短い時間で伝えられます。
感覚を通してブランドメッセージを伝える
ブランディングデザインでは、言葉や文字だけでは伝わりにくい抽象的なブランドの価値を感覚的に伝えることが可能です。デザインそのものがメッセージとなって、相手の言語、年代、属性の違いにかかわらずにダイレクトに発信できるという特徴があります。
特に、パンフレットや商品パッケージ、店舗の内装などのデザインは、単に見るだけでなく、手で触ったり、相手がその中に身を置いたりする「体感」によっても、ブランドメッセージを伝えられます。
こうしたデザインは、繰り返し目にしてもテキストのように読み飛ばされることがなく、自然にブランドを浸透させられます。
さまざまな接点で統一されたイメージを伝える
多くの場合、取引先や消費者が最初にブランドを認識するのは、ロゴや広告、Webサイト、商品パッケージなどのデザインです。さらに、看板やパンフレット、店頭といったさまざまな場面で何度もブランドデザインに接することで、ブランドの認知や識別が進みます。
これらのあらゆる接点で一貫性のあるデザインを採用することによって、「自社ならでは」の統一的なイメージを訴求できるのです。
ブランディングデザインを成功させるポイント
成功したブランディングデザインとは、単に見た目が美しいだけでなく、そのブランドらしさやブランドとしてのメッセージをしっかりと伝えられるデザインです。そうしたデザインを実現するために確認しておきたいポイントを紹介します。
ブランドコンセプトを明確にする
ブランディングデザインで最も大切なことは、ブランドコンセプトが明確であることです。ブランドコンセプトは、ブランド戦略の核であり、ブランドが顧客にどんな価値を提供するのか、自社らしさとは何かを端的に表します。
カラーやロゴなどのデザインがよって立つ大本となるため、ブランドコンセプトが曖昧だったり、要素を盛り込みすぎたりすると、デザインもぼんやりしてしまう恐れがあります。
ブランドコンセプトについての詳しい解説は下記のコラムでご覧いただけます。
・ ブランドコンセプトとは?作り方や作成のポイント、事例を紹介ブランドメッセージを適切に表現する
他社との差別化を図るには、自社ならではのブランドメッセージを的確に表現するデザインが必要です。
自社ならではのクリエイティブを追求する
社名やブランド名を入れ替えれば他社のものとして使えるようなデザインは、避けましょう。自社ならではのメッセージを表現することを追求すれば、クリエイティブも他社の模倣ではなく、オリジナルなものになるはずです。
ブランドストーリーを伝える
ブランドのオリジナリティを表現するときに、重要になるのがブランドストーリーです。ブランドストーリーとは、そのブランドが何を目指しているのか、それはなぜなのかといったブランドの在り方や価値を表す“物語”です。
例えば、アウトドアブランドの「THE NORTH FACE」は、その名を過酷なことで有名な登山ルートから取っています。同社では創業以来、「NEVER STOP EXPLORING(探検をやめるな)」をコンセプトに、厳しい状況下で果敢にチャレンジする人をサポートする商品を開発、販売。ロゴの図柄は創業の地、米国カリフォルニア州にあるヨセミテ国立公園の岩山、ハーフドームをモチーフとしています。
このようなブランドストーリーという裏付けのあるブランディングデザインは、説得力を持ってブランドの価値を示すことができます。
ターゲットの共感を得る
成功するブランディングデザインは、ブランドのターゲットに親和性が高く、共感が持てるカラーやデザインです。というのも、デザインのし好は、年代やその人の状況、趣味・し好によって大きく異なるためです。
極端な例を出せば、スカル(髑髏)のデザインは、ロック音楽やバイクブランドのターゲットからは人気がありますが、健康関連や介護商品のターゲットからは支持を得にくいでしょう。
ブランドのターゲット層をしっかり見極めたうえで、共感を引き出せるデザインの方向性を定めていきましょう。
イメージ、世界観を統一する
例えば、コカ・コーラというブランド名を聞くだけで、真っ赤なラベルを、そして飲んだときの爽快感を思い浮かべる人は多いはずです。ロゴやキャッチフレーズは時代と共に変化していますが、コカ・コーラのデザインが伝えるブランドの世界観は一貫しています。
こうした確固とした世界観を確立するのは容易ではありません。しかし、ひとつのブランドが発信するあらゆるもののデザインを、そのイメージや世界観を表現するように統一することで、ブランドの浸透を早めることが可能になります。
ブランディングデザインの成功事例
最後に、ブランディングデザインの成功事例を紹介します。
雄牛の図と強い色の組み合わせがブランドの力強さを強調する[レッドブル]
「レッドブル、翼をさずける」というキャッチコピーと、筋骨隆々の2頭の牛が角を突き合わせる印象的なロゴのエナジードリンクの「レッドブル」。
そのロゴや、黄、赤、青という強烈な色を組み合わせたパンチのあるパッケージは、従来の健康ドリンクの疲労回復というイメージを覆し、「飲むと力を発揮できる」「強くなれる」というメッセージを力強く表現し、商品のブランド力を高めています。
多様性や分かりやすさを印象づけるカラフルでポップなロゴ[Google]
検索エンジンのGoogle社は、自社の使命を「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」と宣言。そのやわらかな色合いの青、赤、黄、緑を使ったカラフルなロゴは、国や言語を超えて、グローバルな多様性や分かりやすさを感じさせます。
また、Googleはさまざまなサービスを展開していますが、すべての分野のデザインでトーン&マナーを統一。どのカテゴリでもGoogleのサービスであることがひと目で分かるブランディングデザインとなっています。
ブランディングデザインは、“ブランドらしさ”を直感的に伝える企業の顔
ブランディングデザインとは、ロゴから商品パッケージ、Webサイト、店舗の内装に至るまで、ブランドを構成するすべての要素に施すデザインであり、そのブランドの“顔”となるものです。優れたブランディングデザインは、ブランドの価値をダイレクトに見る人に伝えます。単に美しさやかっこよさを求めるのではなく、企業や商品の独自性を明確に伝えられる表現を目指しましょう。
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